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「がんじがらめの愛」第一章-12

 屋敷に戻ると室内着に着替えて、すぐに母の部屋に母の部屋を訪れた。キヨが母の部屋に居たが、席を外して貰うように命令する。母専用のメイドは居たが、彼女は単なる女中なので、別に気遣う必要はない。
「まああ、晃彦さんがわたくしの部屋にいらっしゃるなんて珍しいこと。学校はいかがです。」
 友禅の小紋を着た母はおっとりと笑った。指示をされる前にメイドは紅茶の用意をしている。何と切り出せばいいのか考えながら、紅茶が出てくるのを待っているふりをした。英国からの舶来物のティカップに砂糖を入れかき混ぜながら、どう切り出すべきか決意した。
「母上、園遊会の件ですが、やはり片桐君を招待したいのです。三條は既に招待状が届いていることですし」
 母は考え深そうな顔をした。予想していたことではあったが強張った顔を見ると絶望感を抱いた。母はしばらく無言だった。
「…我が加藤家は片桐家とは確執があったことは晃彦さんも良くご存知でいらっしゃるでしょう」
「それは重々承知しています。しかし、僕としては片桐君ともっと親しくなりたい、そう願っています。お願いいたします」
 必死の思いで頼み込んだ。母は典雅な動作で紅茶を口にする。すっかり飲み終えるまでは無言だった。
「晃彦さんはわたくしにお願い事をしたことがおありにならなかったわね。それだけ、片桐家の人間と親しくなりたいのですか」
「はい、片桐家ではなく、片桐君と親しくなりたいと思っております。一生のお願いを聞き届けて下さいませんか」
 母は無言で考えているようだった、自分の顔を凝視しながら。
「そうですか・・・晃彦さんの一生のお願い…」
 厳然とした顔をして母は言った。
「お父様の手前、片桐家の人間をわたくしが招待するわけには参りません。…そうかといって晃彦さんの一生のお願いも聞いて差し上げなければならないと思います。父上に頼んでみましょう。父上はわたくしの頼みなら引き受けて下さると思いますもの。それで宜しいかしら」
「はい、宜しくお願い致します」
 安堵のあまりため息が出た。
「わたくしは加藤家に嫁いできた人間です。ですから片桐家の人間は敵だとお考えになる夫の考えには従わなくてはいけません。ただ、晃彦さんの考えにも同調出来る部分もありますわ。ですから今回のことは晃彦さんのお願いを優先させましょう。敵だったのは昔のこと、今はそういう確執に拘ってはいられないことぐらい、わたくしにも分かりますわ。大切なのは未来ですから」
 微笑みながらそう言った。しかし、次の瞬間おもむろに表情を変え、
「でも、片桐家のことで協力することは、これで最後に致しますわよ」
 厳しい口調で言い切った。



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テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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