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「純愛と妄執に揺れる心」第一章-4



 でも…みんなが寝てからって…?兄さんのベッドで一緒に寝るのかな?でもその方が僕は嬉しいんだけれども、ベッドはお母さんのマンションに有ったのよりも小さい。「これなら純一が落ちないでしょう?」と大人用のを買ってくれたから。そんなところに2人で寝て僕は良いけどお兄さんが困らないかなぁと思った。勉強時間中、お兄さんは真剣に小学校の宿題をしていた。僕はまだ行ってなかったので宿題はない。仕方がないのでお母さんが買ってくれた本を出して読んだ。
 そういえば今日みんなの前で大谷園長先生が僕のことを皆に紹介してくれたのだけれど…みんなどうでもいいような感じで、小学校の入学式の時みたいに友達になろうっていう気持ちを持ってないなっと思った。直哉兄さんだけが、隣でニコっと笑ってくれたのは嬉しかったのだけれども。
 消灯時間が過ぎて、皆が寝たかなと思って…僕は全然眠れなかった…お医者さんに貰った眠れない時のためのお薬は飲んだのに…目を瞑るとやっぱり浴室のお母さんの姿が浮かんできてしまって…昼間は大丈夫だけれど、夜は眠れない。
 でもお兄さんは寝ているかもしれないな。もし寝ていたらガッカリするから母さんの「形見」、それはハウスキーパーさんの青井さんが「これを持っているとお母様が守ってくれますよ」と言ってこっそりくれたものだった。それを落とさないようにギュッと握り締めてちょっとドキドキしながら直哉兄さんのベッドに行った。二段ベッドの下だったから良かった。僕も下だったけれども。上だと落ちたら大変だもん。
 兄さんも寝ていたらどうしようかと思ったけど、僕が兄さんの頭をそっと突付くと小さな懐中電灯がお絵かき帖を照らしていた。兄さんは鉛筆を持った手でこっちへおいでと手招きしてくれた。手招きは皆を起こさないようにするためだろうな。
 何だって内緒の話だもんな。
――よく、起きていられたな?ねたのかと思った――
 お兄さんの横に寝っ転がって、懐中電灯で照らしたお絵かき帖で会話する。ホントに秘密みたい。わぁ。
――ねるための おくすり 飲んでも ねれないから――
 直哉兄さんはちょっと怖い顔になった。でもすぐに微笑んでくれて。
――そうか。それは つらいな――
――でも 今日は なおやお兄さんがいるから平気――
 笑顔がどんどん嬉しそうになっていくのが分かる。そうか、だからお兄さんは僕にも笑ったらって言ってくれたんだ。だって、僕はお兄さんが笑うと嬉しくなるもん。僕が笑って皆が嬉しくなったら「金持ち」って言われないか…な?
――みんな、なんで ぼくのことを お金持ちって コワイかおで言うの?――

――それは、純一が == の ランドセルを 持っていたからだ――

 お兄さんは僕の通っていた小学校の名前を正確に書いてくれた。みんな略して呼んでいる学校だったのに。

――すごいね。ぼくの小学校も知っているんだ――

――ぼくの友達も行っているよ、その小学校。ぼくは違う学校だったけど――

――お兄さんは、僕が行く学校でしょ?知っているよ。公立の学校だってね?――

 でも、公立の学校って何だろう?試験を受けなくても入れるところって塾の先生は言ってたけど…お兄さんはお母さんが毎朝飲んでいたコーヒーを僕が口に入れた時の顔をして笑った。

――違う。公立の学校に転校する前の話――

 お兄さんも転校したんだ。僕と同じでちょっと嬉しい。お兄さんの秘密は何でも知っていたくて聞いてみた。

――お兄さんは前の小学校はどこ?――

 ちょっと怒ったようなでも寂しい顔で小学校の名前を書いてくれた。すごいなぁ。お母さんの憧れの小学校だったところだ。お母さんは、「でもこの素性じゃ書類選考で絶対にダメだわ」と塾のお母さん仲間に言っていたことを思い出す。「すじょう」 「しょるいせんこう」という言葉はさっぱり分からなかったけど、僕には通えない学校だということは分かった。そんな学校に行っていたなんてお兄さんスゴイ。

――お兄さんは やっぱり純一の お兄さんだよ。僕の行けない学校に通っていたなんてスゴイ――

――いや、うちの家族はほとんどがあの学校に行っていた。パパもママも、おじいさんも、おばあさんも――

――もっとスゴイね――

 目をまん丸にすると、お兄さんはちょっと楽しそうに笑ってくれた。

――ただ、ここの みんなは きらうよ 私立だから――

――私立と公立って何がちがうの?――

――私立はお金を はらわないと いけない小学校で、公立はお金を はらわなくて いい学校かな?――

――じゃあ お金持ちしか行けないの?――

 みんなが石つぶてのように投げて来た「お金持ち」という言葉が頭の中をワンワンさせた、

――そう。だから きらわれる――

――そっか。でもどうしたらいいの?――

――しらんぷりを するか 笑ってあげればいい。 しばらくすれば みんなも 言わなくなるよ――

 お兄さんってやっぱり頼りになるなぁ。

――さっき、ねむれないって書いてたよな?つらくてねむれないのか?そんな時、どうしている?――

――ねむれない 時は お母さんの「お守り」を持ってじっとしている。へやを 明るくして――

 ぴったりくっついていると何だか直哉兄さんの体温が気持ちよかった。
――見る?「お守り」?――
――いいのか?大切なものなんだろう?――
――なおや兄さんは とくべつだから――
 青井さんは誰にも見せちゃダメって言ってたけど、渡してくれるときも何だかソワソワしていたし。でも直哉兄さんになら見せてもいいよね?「とくべつ」の字を見て、兄さんの顔がもっと優しくなった。
 握っていた手を開く。
――へえ。サファイヤ の ゆびわ ――

――サファイアって――

――この青い石――

 直哉兄さんは僕のてのひらの中にある青く光る石を指差した。その石は兄さんの小指の爪くらいの大きさだった。

――ホントはね、青井さんっていうハウスキーパーの小母さんがどっちがいい?って赤い石とこれを見せてくれて ――

 続きを書こうとする僕の鉛筆を貸して欲しいって顔をした直哉兄さんに鉛筆を渡した。

――赤いのは、純一は嫌いだったからこっちにした?違う?――

 どうして分かったんだろう?赤は大嫌いな色で。でも青色もお母さんが最後に着ていたお洋服だったからちょっとは嫌で、でもお母さんの好きな色だったからいいやとこっちを選んだんだ。
 お兄さんってやっぱりスゴい。

――そう、お兄さんてすごいね。ぼくの気もちまで 分かるんだね――

――赤いのは、多分ルビーっていう宝石だよ――

 サファイヤにルビー…また新しい言葉を覚えられた。直哉兄さんの書いてくれる言葉は学校の教科書やご本の言葉よりも頭にするするっと入る感じがする。でも、お兄さんは色々知っているんだなぁ、やっぱり僕のお兄さんだ!
 スゴイって目で見ているとお兄さんは何だか照れたように笑った。

――内緒だよ?――
 僕が力いっぱい頷くと、耳元でこっそり囁いてくれた。
「僕の死んでしまったママが宝石をたくさん持っていて…自然に覚えた」
 兄さんのママも死んじゃったのか…

――同じだね、ママが天国に居るところは、お兄さんとぼく――
「そこは同じだな、ただパパも――天国にいるかは分からないけど、死んだところは違う」

――パパが いていいね。ぼくには いなかったから――
「パパは、ママを殺してから自殺した」
 耳に入って来たお兄さんの声がとても暗かったし、それに「殺して」という言葉にもとてもビックリした。


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テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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