スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「純愛と妄執に揺れる心」第一章-6

「裁判を起こされたら美容整形外科は患者様がバッタリと来なくなる。それでお金に苦しんだパパは銀行の借金返済のためにどんどんとお金を貸してくれるところからお金を借りたら借金がもっと増えた。借金に追い詰められたパパは僕を何とかお祖父様のお家に預けてママを殺して、自殺した」
 直哉お兄さんの押し殺した低い声と狭いベッドに引っ付いて寝転がっていた僕は直哉お兄さんの身体が震えているのが分かる。あれ?お兄さん…泣いているよね?
 言っていることは半分くらいしか分からなかったけど、「借金」がどんなに怖いかお母さんの件でとってもよく分かったから。
 お兄さんの身体にギュッと手を回した。
 右手だけ離して直哉兄さんに僕の気持ちが伝わるように一生懸命考えて書く。

―― 辛いね。 ぼくも とっても お母さんが困っている時、何にも出来なかった。
でもこれからは ぼくが お兄さんを 守ってあげる ずっといっしょ ――

 お兄さんはカチカチになっていた身体の力を抜いて笑ってくれた。いつもの優しいお兄さんに戻ってくれて嬉しいな。

「優しいな。純一も僕が守るから」
 えへ。また褒められた。でもお兄さんに褒められるととても嬉しい。

―― うん!守りっこ! ――

「話続けていいか?分からないところは?」
 いっぱいあるけど…でも、お兄さんは話を続けたそうだった。

―― だいたい分かるよ。 だから続けて ――
 お兄さんの目が暗くなる。でも、髪の毛をクシャクシャって撫でてくれたのは嬉しかった。
「親戚の殆ど病院経営者だったのも辛かったのだろうけど。親戚からは医療ミスを出した美容整形病院の経営者なんて邪魔でしかない。一族の恥知らずとまで言われたらしい。
 お祖父様とお祖母様は辛うじて庇って下さった。だから僕はあの晩、お祖父様の家に預けられていた。
 パパはママも苦しめたくなかったのか、塩化カリウムという薬を使ってとても安らかに殺した後に、パパも自分で注射して死んだ。
 でも、息子が殺人者になったということで力を落とされたのかお祖父様は直ぐに亡くなられた。もともと心臓が弱かったから。お祖母様もショックのあまり入院されて…それに医師が自殺に医薬品を流用するのは世間からも嫌われる。それで親戚からは要らない子供になった僕はここに来た。聞いている?」

―― 聞いているけど、眠くて…目が溶けちゃいそう ――
 お兄さんは、きっと誰かに言うために、前から考えていたんだろうな。
僕で良ければ何時でも聞くから、今日は久しぶりに眠りの天使様が砂をまいてくれているんだ。お母さんがそんなことを言ってた。
「眠くなるのは天使様が純一のお目目に天国の砂をまいてくれているのよ。天使様が『眠りの国にようこそ』って言って下さっているの。だから眠っていていいのよ。お母さんの帰りなんて待たずに」
 お母さんが帰って来るのを待っていて、リビングで寝ちゃった時にお母さんは「これからは帰りを待ってちゃダメよ。純一のベッドでちゃんと寝なさい」と言った。でも僕はお母さんが帰ってくる時に「お帰りなさい」を言いたくてダダをこねたら「眠りの天使様のお話しを…あれ?妖精だったかな?まぁいいや。
 お兄さんの難しいお話は全然分からなかったけど、やっぱりお兄さんてすごいなぁ…
 お兄さんの心臓のトクトクいう音が、天使様の砂かもしれないなぁ。
「そうだな。純一は寝たほうがいいな…また話すから。純一に話せて良かったよ」
 お兄さんの言葉が眠りの国に入りかけていた僕の耳に届いた最後の音だった。
「おはよう。良く眠れた?」
 気が付くと、お兄さんがいつもの優しい目で見ていた。あれれ?窓に掛かったカーテン――お家にあったのとは全然ちがう薄い布だったけど――からお日様の光が入って来てとっても眩しい。目をこすりながらウンって頷いた。
「昨日の話し…覚えている?」
 まだ同室のみんなは眠っているのか部屋はとっても静かだった。

―― ちゃんと 覚えているよ ――

 お兄さんのことなら何でも覚えておくから。これからずっと。寝ている間に鉛筆がどっかに行っちゃったので、探してから書いた。不便だなぁ…。それに、昨日なんかノドが動いたのって気のせいなんかじゃないよね?「そこを動かすことが出来れば声が出ますよ。そうすれば元通り…話すことが出来ます、純一君は」ってお医者さんが仰ってた。

「そうか…純一に話せて僕も何だか少し心が軽くなったような気がする。
でもこれは2人だけの内緒の話にしようね」
 えへへ~!お兄さんと僕との二人だけの秘密の話が出来ちゃった。

―― うん!2人だけの ひみつだね!また話してね。ぼく ちゃんと聞くから ――

「ああ、2人だけの秘密だ」
 お兄さんは、頭を良い子良い子してくれた。とっても良い子になった気がする。胸がポッカポカだぁ。カーテンから漏れてくるお日様の光をたっぷり浴びたみたいにポカポカしている。
「そろそろ皆も起きる時間だから自分のベッドに戻っていたほうが良いよ」

―― ねむれなかったら また 来て いい? ――

「ああ、もちろん」
 もっと胸がポカポカする。お兄さんの心臓の音を聞くときっと天使様が眠りの砂を運んでくるだろうなぁ。良かった。暗い場所で1人起きているのはとってもとっても嫌だったんだ。お母さんの姿が頭の中に出てくるから。
 ベッドからこっそりと抜け出そうとすると、直哉お兄さんは「忘れ物」と言ってお母さんの指輪を僕に差し出した。

―― それは、今度は お兄さんのお守りにして。 ぼくは お兄さんが、お守りになったから ――

 そう書くと、直哉お兄さんはビックリした顔をしてから笑ってくれた。とても嬉しそうな笑いで、僕も嬉しい。
 バイバイしてから、自分のベッドに戻る。胸のポカポカのせいかなぁ、まだ眠くて自分のベッドでもう一度寝てしまった。
「朝ご飯の時間だから」
 お兄さんが起こしてくれた。着替えて、食堂に続く廊下をお兄さんと2人で歩いていると、「お金持ち」と言われた。とっても悲しかったけれども、昨日お兄さんから教えてもらった作戦開始だぁ。
 言ったのはちょっとお姉さんだった。僕はうんと頑張って笑顔を作りそのお姉さんに向けた。あれ?お姉さん、赤くなって下を向いているよ?何でほっぺが赤くなるのかなぁ?不思議に思って見ていると、お姉さんは僕を見て笑ってくれた。
 やったぁ、作戦成功だぁ。やっぱりお兄さんってスゴイんだ。お兄さんも僕が作戦をしている時にずっと見ていた。お姉さんが僕を見て笑った時に、やったな!とこっそり僕の耳に囁いてくれる。僕はウンって頷いた。食堂に入るとまた「お金持ち」と今度はおっきいお兄さんに言われた。よーし、作戦開始!やっぱり赤くなって、今度は目をそらせている。変なの?どうしてほっぺが赤くなるんだろう?次に目が合った時、おっきなお兄さんはやっぱり僕を見て笑う。
 やっぱり直哉お兄さんの作戦は成功だぁ。お兄さんはスゴイんだなぁ。
 でも、朝ご飯の時はお兄さんと僕は席がバラバラだったんだ。朝ご飯…またおかずを取られちゃうのかなぁ?とってもとってもお腹がキューなのに。
 あ、お兄さんも昨日はおかずを僕に分けてくれたんだ。直哉兄さんもお腹がキューかな?お兄さんだけでも朝ご飯たくさん食べてね。僕は多分、お味噌汁に御飯だけの朝ご飯だろうけど。

スポンサーサイト

テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

コメント

非公開コメント

プロフィール

こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

FC2ブログランキング
ランキングに参加させて戴いております。ご訪問の際ポチっと。とっても喜びます!!

FC2Blog Ranking

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。