スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「がんじがらめの愛」第一章-11

 人の気配を感じると、片桐は唇からさっと指を離し「早く行け」と言うような視線で加藤を見た。加藤は何気なく席を離れると、朝の挨拶をクラスメェトにした。同じように片桐もする。
 三條が登校してくるのを今や遅しと待ち構えていた。彼は天真爛漫な上に思慮深い性格なので自分の頼みは断らないとは思っていたが。
 三條が教室に入って着た。人気のない場所に呼び出す。
「頼みがある。聞いてくれるか」
 真剣な声で言った。
「お前が頼むのは珍しいな。僕で出来ることだったら良いのだが」
 藤原氏を直系の先祖に持つ彼はいかにも貴族らしいおっとりとした口調で言う。
「来週の日曜日に母上の実家で園遊会が開かれる。友達を連れて来いと言われたのだが…親友のお前には申し訳ないが、どうしても連れて行きたい人間がいる。だから・・・悪いが今回は一緒に行けない」
「それは全然構わないが…それに鮎川公爵からは招待状が届いたことだし。しかし気になるな、誰を連れて行きたいのだ・・・」
「片桐君だ。昨日偶然話す機会が有った。それで興味がわいた。俺は彼のことをもっと知りたい」
「ああ、彼か。確かに君達のような由緒の武家華族を拒んでいる気配があるな。良い機会だ、ゆっくり話せば良い」
 おっとりしていても、代々天皇陛下や更に上位の公家(摂関家)の気持ちを推量するのが習いだった公家出身だけあって、人間関係の観察は鋭い。
「恩に着る。俺は片桐と親しくなりたい。だが、過去のしがらみで家族には内緒にしたい。彼の家に電話を掛ける時にはお前の名前を使ってもいいか」
 面白そうに笑って、三條は言った。
「僕は全然構わないけど、二つも貸しが出来るから、今日の幾何の宿題の答えを見せてくれないか。お前の答案は当てに出来る」
「それくらいで済むならお安い御用だ。では宜しく頼む」
「片桐君にはお前のような友達が必要だと思っていた。今更過去のことを引きずっていても仕方のないことだとは思わないか。僕の家なんて過去のことを言っていたら敵ばかりだ。何しろずっと京の都で閉鎖的な人間関係を続けてきたから。お前が片桐の家のことを恨むのは当然だと思うが、過去は過去として割り切るべきだ」
 珍しく真面目な顔で言った。
 公家華族は公家華族で色々な悩みがあることに今更ながら気づかされた。
 予鈴が鳴ったので二人で教室に戻る。 
 問題の一つは解決した。後は、家族をどう説得するかだった。
 父上は駄目だ…。母上も昨日の様子からすると難色を示すだろう。しかし、母上の方がまだ説得の余地があるのではないかと思った。母上の実家は公家華族だ。三條と同じような考え方も、もしかしてして下さるかも知れない。それに賭けようと決意する。





スポンサーサイト

テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

コメント

非公開コメント

プロフィール

こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

FC2ブログランキング
ランキングに参加させて戴いております。ご訪問の際ポチっと。とっても喜びます!!

FC2Blog Ranking

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。