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「気分は、下克上。」医師編 春-15

「とても美味しそうな夕食を戴く前に、リクエストをお聞きしますよ?今日の非礼のお詫びもしなければなりませんし」
 椅子に座って最愛の彼の顔を見る。
「非礼?特に何もなかったが?」
 向かいの椅子に腰を下ろして祐樹の顔を見る彼は本当に怪訝な表情だ。
「折角の日曜日だというのに朝から寝てしまって、気が付いたらこんな時間に…後始末も手伝うという約束も果たせずで…」
 今朝の乱暴狼藉がありありと脳裏に蘇る。彼は別に嫌がってはいなかったが、それでも後始末を手伝えなかったのは痛恨の極みだった。
「いや、別に気にしてはいない。求めてくれたのは嬉しかった。それに身体の後始末は1人でする方が恥ずかしくなくて…良いかもしれない…な」
 白皙の頬が羞恥に染まる。ベッドの上では大胆に振舞うようになったが、こういう日常の席で際どい話をするのはもしかしたら初めてかもしれない。それだけ心を許してくれたのかと思うと単純に嬉しい。
 1人で後始末をしている様子を見られなかったのも、そういえば勿体ない話だ。彼の細く白い指が彼の紅い蕾に挿れられて…祐樹の白濁を掻き出す姿態はさぞかし艶めかしいに違いない。是非観賞したいが、まだまだ無理だろう。先ほど彼が見せてくれたいつも以上に紅くピンと立った胸の尖りの色っぽさも脳裏に焼き付いて離れない。
 ファッションホテルでコトに及ぶ習慣があるならともかく。ああいうホテルの多くはバスルームの鏡が隠し鏡でベットルームからも覗くことが出来る仕組みであることが多い。
 Rホテルも彼の自宅も当たり前だが、バスルームを覗くことは出来ない。一緒に入ることは出来ても…。そうかと言って「それ」目的100%のホテルに彼と入るのは祐樹ですら抵抗がある。誰かに見つかったら言い訳が不可能だからだ。
「私が観ていたら、もっと恥ずかしいです…よね…?」
 控えめな口調で提案したら、みるみる紅くなった顔を明後日の方角に向けられた。聞いていないフリをしたらしい。
「ともかく、リクエストは何ですか?」
 口調を改めて聞いてみた。
「桜…祐樹と桜を見に行きたい。去年、帰国した時には桜の時期は終わっていたし、特に見たいとも思っていなかったのだが…今日、1人でテレビのニュースを見ていたら『桜の花が満開だ』というニュースが流れて…画面に映った桜を見て、『祐樹と見たいな』と」
 その提案には熟慮を要するなと思った。この辺りには桜の名所が多いが、桜を見に来る人間も多い。病院関係者はもちろんのこと、彼を知っている人間に遭遇してしまっては…色々マズい。
「桜は…いわゆる有名な桜でなくてはいけませんか?丸○公園のしだれ桜のような?」
「いや、桜の木があればそれでいいのだが?」
 祐樹の慎重な口調に首を傾げて返答する。彼は自分の顔がどれだけ人に知られているかは無頓着だ。ただ、病院関係者であっても、医局員を従えて威風堂々と病院内を歩く彼の姿は知っていても、今日のようなラフな格好をしている彼とでは全く印象が異なる。有名な名所ならライトアップもされていて辺りは明るいが、普通の桜の木なら大丈夫だろう。辺りは桜闇なので。
「病院の近く…と言っても病院関係者はあまり近寄りませんが…神社があります。そこの桜で良ければ。あそこは一応神域ですのでバーベキューなどの花見の騒がしさも無縁です。人もそんなには居ないでしょうし…。夜の雰囲気は、『天橋立』の松の林に似てます」
 あそこなら歩いて行ける距離だ。
「ああ、そこでいい。『天橋立』か…とても懐かしい。しかし、病院の近くの穴場の神社を良く知っているのだな?」
 彼の瞳が幸せな追憶に煙る。指輪を渡して告白した特別な場所だ。
「とても美味しそうな散らし寿司に小芋の煮転がしを食べながらでも構いませんか?実はとても空腹で…」
 彼は我に返ったようにしなやかに立ち上がる。
「ハマグリの吸い物も作った。今お椀に移すから。散らし寿司は好きなだけよそってくれ」
「了解です。とっても綺麗で美味しそうですね。鮭とイクラの赤味が食欲をそそります」
 散らし寿司用の和食器に盛り付ける。彼の分も少し多めによそった。
「私が、その神社を知っていたのは、こっそり煙草を吸う場所…そして、面倒な人間に遭ってしまって折角の休憩時間を失うことのない場所を探索していて…そして見つけました。人に会わない場所を探すのは得意なんです」
「それは…祐樹らしいエピソードだな…。小さい頃秘密基地をたくさん持っていただろう?」
 彼が仄かに笑う。
 最近は医局内の雰囲気が引き締まっていて居心地が良くなったので――祐樹も加担した医局トラブルの元凶追放のお陰だ――医局に居ることが多い。以前の医局の雰囲気は居たたまれなかった。どうしても居なければならない時は仕方なく居たが、それ以外の時間は外に出たくて仕方がなかった。だた、それを言ってしまうと――彼の着任以後もそうだったので――医局の長である彼が責任感を感じてしまうかと、黙っておくことにした。
「ええ、実家がご存知の通り田舎ですから。色々な場所を捜し出していました。けれど…」
 彼が食事の準備を全て終わらせて椅子に座ったので言葉を切る。
「あ、この散らし寿司は、酢飯を使ってなくて斬新ですが、とても美味しいです」
 口の中に鮭の塩味と大葉の紫蘇の香りが広がった。
 祐樹の表情を確かめて彼も満足そうに笑う。
「けれど?」
「その神社に桜の木があるのは知っていましたが、咲いている時期に行ったことはないです。だから、桜の花を見るのは初めてだ。是非行きましょう。このとても美味しい食事を終えてから。小芋…味付けが絶品ですね」
 彼はとても幸せそうに祐樹の顔を見ながら綺麗な箸使いで食事をしている。明日の凶事を知ることもなく。


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テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

コメント

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No title

 お雛様気分満載ですね♪
食事のシーンを読んでいるととてもお腹が空いてきました(笑)
いろいろと反省する祐樹さんがかわいいです。
明日の凶事・・・・なんだろう~~~ドキドキ

Re: No title

紙魚さん

こんにちは~!散らし寿司は一応季節に合わせてみました~!けど、場面は4月の8日くらいでしょうか~?
> 食事のシーンを読んでいるととてもお腹が空いてきました(笑)

 私も、自分が作るわけではない、かつ美味しそうな料理を本から探して献立作るのってちょっと寂しいです~!

> 明日の凶事・・・・なんだろう~~~ドキドキ

明日と言っても、舞台の「明日」なので、月曜日の手術ですね~!
「医師編」と名づけたからには、祐樹もたまにはしっかりした医師に書かないとなと・・・
 
コメント有難うございました
━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!
プロフィール

こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
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