スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

桜吹雪の風?

 ふとノックの音がして我に返った。
「兄貴達が帰るってんで…」
 返事をし、自室として与えられている部屋を出て粗相のないように見送った。
「ケンのことは宜しく頼むぜ」と木村が言いながらエレベーターに乗り込んでいった。
「はい!」と元気よく返事はしたものの、心の中では先ほどの悩みが晴れない。
「どうした?浮かない顔だな」
「いえ、何でもありません…」そそくさと自室へと戻った。ノックの音が響いた。
「何か御用ですか?」
「いや、用ってほどじゃねぇが、お前がふさぎこんでいるように思ってな。気分でも悪いのか?」
―興味がないのか聞いてみたい―
 そう思ったのだが、どうしても言葉には出来ない。「いえ、ちょっとシノギのことで…」とごまかした。
「お前、石渡のとこで株取引やってるんだってな。なかなかの腕だと上層部は評価しているってさっきの話題にも出たぞ」
「そうですか…。でも自分の場合は趣味みたいなものですから」
「ヤクザもシノギの方法が変わっちまったな…。俺らの時代はチャカだのシャブだのってのが当たり前だった…」遠い目をして三浦は言った。
「そうですね…色々法律も変わりましたから」先ほどの考えを一旦は頭の端に寄せて普通通りの笑みを見せる。
「これからのヤクザは皆おとなしいシノギになるしかないってことだろうよ。警察も煩いしよ…俺みたいな昔っからのヤクザは居なくなってしまうんだろうなぁ…」寂しげに言った。
「皆、変わっちまうんだろうなぁ…」独り言のように呟く。やけに寂しそうだった。
「………」
 しばらく沈黙が落ちた。よどんだ水の底のような沈黙だった。
「変わらないものもありますよ、きっと」
 気休めでも構わないから言ってみたかった。
「七年前の東京と今の東京も随分変わっちまった…。ま、世の中そんなモンだろ」
「お、タバコが切れてら。ちょっと行って買って来る」
「そんな仕事は自分がやりますから」こんなことでは世話係(といってもそんなに世話をしているわけではないが)が務まらない。
「いや、ちょっと考え事もしてぇしな。外の空気も吸ってくらぁ」片方の唇を上げて佳樹に微笑んだのち、部屋を出て行った。
―そんな微笑も自分だけに見せてくれたらいいのに。そしてその唇で自分の唇を塞いでくれたらいいのに―
 唐突に浮かんだ考えに自分自身でも驚いた。








スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

プロフィール

こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

FC2ブログランキング
ランキングに参加させて戴いております。ご訪問の際ポチっと。とっても喜びます!!

FC2Blog Ranking

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。