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桜吹雪の風~第二章~?

 その一言が、佳樹にとっては神の声のように聞こえた。
―これで三浦さんと離れなくてすむ―
 安堵のあまり、一瞬意識が霞んだ。ふらりとよろめく佳樹の身体を三浦が慌てて駆け寄り抱き締めた。銃を捨てて。

 携帯電話であちこちに短い指示を飛ばしていた木村若頭は、安堵した顔で
「渡辺組長の容態は大分良いようだ。そして、これからは俺に任せろ。今、若いモノをこっちに回すから三浦さんはそいつを連れてマンションに戻っては。車は玄関に用意させる」
とねぎらうように言った。
「あとのことは宜しく頼んます」
 静かな声で三浦は言い、佳樹を抱き上げた。そうして貰えると三浦の切れ長の目や、薄く形のいい唇が間近に見ることが出来る。心臓が跳ねた。
 志水組の玄関から突入する役目を担っていた渡辺組の組員たちが、皆ほっとした表情で部屋に入ってきた。
 抱き上げられたままという格好は、かなり恥ずかしかった。それでも熱い体温が感じられるほうが嬉しくて、頬を三浦の胸に当てる。規則正しい心臓の鼓動がとても嬉しかった。
―まかり間違えば、今頃は止まってしまっていたかもしれない心臓―
 そう思うと、愛しさが募る。強靭な筋肉がついていることをうかがわせる力強い腕に抱き締められると、それだけで満足感があふれ出る。
「玄関はどっちだ」
 小さな声で三浦が言った。佳樹の頭の中には志水邸の見取り図が記憶されているはずなのだが、この急展開に脳が飽和状態になったのか咄嗟には出て来ない。
「えっと…」
 眉をひそめた佳樹を見て、三浦は理想的な唇をゆるめた。その笑顔が嬉しくて、少し思い出してきた。
「廊下出て、右…」と方向を指で示す。左手は三浦が動きやすいように肩に回した。
「そうだ。指で指示してくれたら、それでいい。そのまま捉まっていろ」
 満足そうな微笑を浮かべた。
「うん…いえ、はい」
「『うん』でいい。おめぇがいなきゃ、俺の命はなかったんだからな」
 その言葉が、しみじみと佳樹の胸を喜びで浸していく。
 廊下では、志水組の組員は拘束され、渡辺組の組員たちが…多分、木村に呼ばれたのだろう…沢山居た。皆が三浦の姿を認めると、
「ご苦労様でございやすっ」
 と、深深と腰を折り頭を下げた。それにうなずきだけで返事をして三浦は佳樹の身体を抱いたまま、玄関に向かった。
 玄関を出ると、ひときわ見事な桜の木があった。花吹雪が散っている。その下にあるのは、大きな池。その水面に桜の花びらが降りしきり水面は桜色をしていた。






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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
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著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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