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桜吹雪の風~第二章~最終話

 一緒にシャワーを浴びて、ソファは拭き取ったものの落ち着く気にはなれなくて、2人はダイニングの椅子に座った。
―シャワーも恥ずかしかったけど…特にケンイチさんが掻き出してくれた時は―
 マンションの電話が鳴る。少し緊張して佳樹が取った。
「ケンイチさん、木村若頭から」
 渡辺組の協力は仰いだが、佳樹は基本的には石渡組に所属しているので遠慮して部屋から出た。マンションのベランダから桜を見ていると、三浦が傍に立った。
「渡辺組長は退院が決まった。そして志水組は解散届を警察に提出したそうだ。もうこれで危ないことはない。志水組の構成員はウチの組に吸収された。志水や佐々木は組員の人望がなかったようだな。皆、親父さんの組で面倒を見てもらいたいとさ」
「そう。良かった」
―これで三浦の身も安全だ―
 佳樹を斜めに見ることが出来るようにマンションの隣室との仕切りを示す壁に背中を預け、
「で、佳樹はどうしたい?俺は、今度の手柄で渡辺親父の相談役をおおせつかった。今までのようにこのマンションにこもりっきりというわけにゃいかない」
―マンションを処分する…んだろうか。じゃあ僕は、お払い箱・・・か―
 表情を暗くする佳樹に向かって三浦が、
「佳樹は今回のことで功労者だ。木村は、佳樹のしたいようにさせろと言って来た。石渡組を離れて大学へ通うにしろ十分な金は払うと。おめぇは、俺たち根っからのヤクザじゃねぇ。真っ当に生きていくことの出来る人間だ。カタギに戻れ。頭もいいしな…」
 棒読みの声が言う。棒読みのセリフに、三浦の気持ちが垣間見える。
「有り難いお話ですが…僕を渡辺組に置いてもらうわけにはいけませんか」
 緊張しながらそう言った。三浦の形のいい唇が微笑の形になった。
「それは問題ねぇ。木村はスカウトしたいって言ってたからな。で、佳樹は渡辺組に入ることが目的なのか」
 思考を読ませないような事務的な声。
「いえ…。ケンイチさんと離れてしまうのが、嫌なんです。このマンションも処分するんですよね」
「しょ、処分?そんなこたぁ一言も言ってねぇぞ。…・・・佳樹、おめぇさえ良ければ…これからも、一緒に・・・住んでくれる・・・か」
 哀願するような口調だった。途切れ途切れの言葉が三浦の怯えを表しているようだった。
―こんな口調、志水邸に行った時もしてなかった。いつだって落ち着いてた―
―その気持ちが嬉しい―
「僕だって、ここでケンイチさんと一緒に暮らしたい。そして、ずっと…愛して欲しい」
「ああ、約束する。何しろ一目惚れした相手が想像よりももっと綺麗な表情を見せてくれるんだからな、抱いている時なんざ、特に・・・な。もう一生離さない」
 佳樹は頬を赤らめると、三浦の言葉を噛み締めた。嬉しさが胸をいっぱいにした。
「ケンイチさんがもし、万が一…死ぬようなことがあったら…僕も一緒に逝く…」
「まぁ、大丈夫だろ。幹部連中とだけ付き合ってればいいんだから。よほど運が悪くなきゃ死なねぇ」
「ほら佳樹、見てみろ。桜吹雪だ」
「綺麗だね。風が強いから盛大に散ってしまう」
「俺にとっちゃ、桜は佳樹だ。そして、シャバへ出るとおめぇを連れて来た。それが風だ」
「それじゃあ、志水の屋敷で見た池の水面の桜のように、ケンイチさんと綺麗な景色をずっと作るというのが僕の望み」
「綺麗だけでいいのか」
 三浦は唇を歪ませた、少し不本意そうに。言いたいことが分かってしまい佳樹は慌てて、
「抱かれている…時は、枝垂桜だと言ったよね、ケンイチさん」
「ああ。ああいう顔を拝ませてくれるんだよな」
「うん。いつでも」
 その言葉を聞いて、三浦は佳樹に近づき、唇を重ねた。
―この一瞬一瞬を大切にして心の中に刻み込もう。志水邸の桜の水面もすぐに色あせてしまうものだけれど、ケンイチさんとのことは心の中で鮮やかに思い返すことが出来るように、永遠の桜の水面を心の中に作ろう―
 三浦の背中に腕を回しながら佳樹はそう決意した。ケンイチさんが僕を飽きるまで…。出来ればそんな日が来なければいいと切実に祈った。
                              了




  ↑
無事、最終話まで書けました。少しでも面白かったと思う方、お疲れ様と思ってくださった方、ご祝儀クリックお願いいたします。
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コメント

非公開コメント

No title

こんにちは ^▽^)
桜吹雪の風、大好きです(〃▽〃)
本当に世界が美しすぎる・・・
もう、雰囲気に丸呑みされてます♪
多分、また時々読んじゃいますッ
もちろんポチポチして参りました~ヾ(≧▽≦)ノ☆ポチッ

スミマセンッ
 ↓ 以下ヤフブロコピペです・泣

始めましてです!
WISHLESSといいます。
桜木由花さまのトコからお邪魔させていただきました♪

すごくお話たくさんで、どれから・・・と思ったのですが、全部網羅したいなあと思い、何とか以前のものからと思ってたどり着いたのが「桜吹雪の風」でしたが、間違ってないでしょうか?
もう、ただただ引き込まれて、最後まで一気読みでした~(〃▽〃)
佳樹くんの好きになって行っちゃう感じとか、三浦さんの色っぽさとか、佳樹くんへの優しさっぷりとか、佳樹くんの一途ッぷりとか・・・ただただ溜め息です(〃▽〃)
桜の感じも綺麗で・・・花びらとちゅうなんて素敵で♪
しかも指萌えの私にはツボが盛りだくさんで・・・♪♪
最後がハッピーエンドで、本当によかったです(〃▽〃)
途中、佳樹くんじゃないですが、もう三浦さんが心配で心配で、こっちが倒れそうデシタ。゚(゚´Д`゚)゚。
またお邪魔させてください!
ありがとうございました~!!!

Re: No title

WISHLESSさん

> 桜吹雪の風、大好きです(〃▽〃)

え?そうですか~?ブログ村に参加した時は、あんなに「ヤ○ザモノ」が多いとは知らなかったのですよね…というか、初めて創作してみたので。二次創作は友人が同人誌をやっていたのでそれにゲストとして参加したことは何件かあるのですが、完全創作は初めての作品です。
桜⇒がんじ⇒下克上⇒純愛と~が正しい順番です。
でも、世界も時代も違うのでお話のリンクは出来ないという…


> もう、ただただ引き込まれて、最後まで一気読みでした~(〃▽〃)

> ありがとうございました~!!!

こちらこそ、ご愛顧宜しくお願い致します(ノ*´∀)人(∀`*ヽ) 

コメント有難うございます*・゚゚・*:.。..。.:*・゚(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゚゚・
コメントが書く支えになっていますので~(从'v`〇嬉)
プロフィール

こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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