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「がんじがらめの愛」3章-16

 翌朝、登校して見ると、片桐はいつもの様に静かに自席に座っていた。こちらに視線を流したが、すっと自然な感じで逸された。三條がいつもの明るい様子で朝の挨拶をしてくるが、瞳は案外真剣だ。
「此処では話が出来ない。いつぞやの中庭に行こう」
 いつぞやの、と言うからには自分の教室の窓が見える所だろう。もしかしたら校舎の窓から片桐が見てくれるのではないかと密かに期待しながら従った。三條の話は華子嬢の件だろう。
 新緑の木漏れ日が極上の翡翠の雫の如く降り注ぐ中会話をする。
「昨日、片桐君と逢ったのだな」
「ああ、逢った」
 情交の際の彼を思い出しながら言った。
「それで、華子嬢の事は聞けたか」
 声を低くして硬い聞いてきた。彼なりに緊張しているらしい。三條にしては珍しい。
「ああ、婚約者も好きな人も居ないそうだ」
 すると見る見るうちにいつもの快活な表情に戻る。
「そうか、では僕が求婚しても構わないな」
 天衣無縫の笑顔だった。
「正式に求婚する積もりか」
「その通りだ。相手が平民ならともかく同じ階級の令嬢だ。爵位も釣り合いは取れている。善は急げだ。早速うちの執事に命じよう」
「御両親には相談しなくても良いのか」
 其の点だけが気になった。華子嬢は良い令嬢だ。いつか、片桐の屋敷に行った時、全てを知りながら細心の注意を払ってもてなしてくれた。あの機転からすると頭も良いのだろう。三條も良い男だし、お似合いだと思う。
「ああ、我が家では押しが強い方が尊重されるのだ。千年もの家系だから権謀術数に長けて居る者も。僕もそちらの方面では父に負けない。だから家で僕に逆らう者は居ない。早くしないと恋敵が出現しそうだ。何しろあの片桐君と良く似た美貌だ。あれでは社交界は騒ぐだろう」
 自信に満ちた顔で断言する。
「ほら、見てみろよ。片桐君がこちらを見て居る」
 確かに微笑を浮かべて1人窓際に佇んでいた。翡翠の木漏れ日よりも綺麗な微笑に笑顔を返した。
「そうか、いつぞやの件では…片桐君の屋敷では、お前が三條だったな」
「ああ、そう言わなければ彼の屋敷には入れなかった。ただし、片桐と華子嬢しか知らない筈だ。執事めいた使用人も居なかったので」
「そうか、真相を知っているのは、その2人だけか…となると別に問題は無いわけだ」
「そうなるな…」
「では、僕が片桐邸を訪れて、その際見初めた事にしよう。令嬢の結婚などに携わるのは執事や家令などの上級使用人だ。そういう連中には遭ったことはないのだろう
「ああ、食堂付きの女中が数人だ」
「なら、特に問題はない。もし片桐家や華子嬢が承諾して下さったら、向こうは嫁いで来る立場だ。片桐家の下級使用人に会う事もないだろうから」
 あまりの決断の早さに感嘆の溜息を吐く。
「華子嬢の意思だけはくれぐれも尊重してくれ。三條家の威光で無理強いはしないで欲しい」
 それだけは念を押したかった。
「僕はその積もりだ。本人に断られたらきっぱりと諦める」
「そうか、それならば良い」
 その後の事は三條家と片桐家の問題になるので口を挟む筋合いは無い。しかし、華子嬢には幸せになって貰いたかった。 誘われる様に上を見上げる。窓際には片桐の姿が有った。微笑んでいる彼を見ると、彼の微笑みを永遠に自分のものにしたいと切に冀(こいねが)う気持ちが心の底から溢れて止まらない。

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テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

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こうやま みか

Author:こうやま みか
素人の完全な趣味で「ボーイズラブ」小説を書き始めました。
全然上手くないのですが、コメント頂ければとっても嬉しいです。
またヤフーブログが本館扱いで、こちらでは当面(ってイツ?)旧作を掘り起こして掲載していきたいと思います。
著作権は放棄しておりませんので、無断転載などは禁止させて頂きます。何卒ご了承くださいませ。

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